先日、いつもお世話になるご近所のかたから、大切にされていた掛軸をお譲り頂きました。

大正から昭和にかけての日本画家、西山翆嶂の作品です。

これは何を描いたものでしょう?もう少し近づいてみますと・・・

驟雨の中に大きな橋と、その下を舟が進んでいるのがわかります。

さらに拡大してみると、舟には緑の草のようなものが満載されているのがわかります。

実はこの草のようなものは刈られた藻で、運んでいる舟は「藻刈舟」と呼ばれていました。

藻刈舟は、舟が進むのに邪魔になる藻を、定期的に棹や鎌で刈り取る作業舟でした。

手元の画題事典をひもといてみますと、下記のような記述があります。

【藻刈舟】沼や池に泛べて藻を刈る小舟のこと。その悠々として水上を漕ぎゆき、刈藻を積む風情に趣きがあるので、繪にも畫かれ又歌にも詠ぜられている(「東洋畫題綜覧」金井紫雲編)。


そして、この図柄は「藻を刈る」を「儲かる」にかけて、「儲かり舟」として、特に商家で喜ばれたのです。


作品を所蔵されていたお宅は町内でも歴史のある旧家で、現在おられるご夫妻も暖かいお人柄で慕われておいでです。この藻刈舟も、次の出番があるならと無償でお譲り頂き、商売する者としてはありがたい限りです。

ご縁に深く感謝し、末永く大切にさせて頂きます。